きょうの垂井

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インタビュー

2022.08.05

垂井町の風景と魅力的な人との出会いから決めたショップのオープン

PROFILE

名前
池宮 聖実さん
出身地
岐阜市

moily(モイリー)代表・デザイナー。大学卒業後、16の途上国を巡った経験から「自らにできること」を模索し、2014年から2年間カンボジアに移住。現地の農村で伝統的に作られているかごと出会い、独自のブランド商品を開発しました。2018年以降は、垂井町にオープンした実店舗へ毎週末、通う日々を過ごしています。

カンボジアの職人たちと共に作る、洗練されたかご雑貨たち

垂井町敷原地区の小高い山々と田園に抱かれた風景の中に建つ「木工房・カフェ「結(むすび)」。その敷地内に、池宮聖実さんが営むかご雑貨ショップ「moily(モイリー)」はあります。
トレーやランドリーバスケット、バッグなど、美しく端正な編み目が目を引くmoilyのかご商品はすべて、カンボジアで自生する天然素材「ラペア」を使った手作りのもの。池宮さんがシェリムアップ州の小さな村の職人たちと信頼関係を築き、デザインにも品質にもこだわって作り上げているそう。
「おしゃれなかごだな、と手にとったら、それがたまたまmoilyの商品で、ものづくりの背景を知ったらもっと好きになった・・・そんなお客様が増えることが理想です」。

カンボジアの人たちの豊かな生活がこれからも続いていくために

小学校教員を目指していた大学生の頃、「面接試験のネタ作り」のために、ボランティアツアーでカンボジアを訪れたことが人生の転機に。
「カンボジアの人たちってとても明るくて、家族を大切にしながら心豊かに暮らしているんです。“途上国は貧困=かわいそう”のイメージが思い込みだったことに気付かされました」。
世界のリアルを自分の目で見たいと思った池宮さんは大学卒業後、バックパックを背負って、16カ国を巡る旅に出ます。
「どの国・地域にも、たくさんの笑顔と、私たちと同じ日常の暮らしがありました。でも、同時にやっぱり厳しい現実が横たわってもいる。たとえばアフリカで仲良くなった同い年の友人が、身体を売りながら生活をしていました。『なぜこの仕事を選んだの?』と聞いた私に『私には選択肢がない。日本人のキヨミにはこの気持ちはわからない。これを伝えたことで、キヨミは何か解決してくれる?』と言われ、何もできない自分の非力さを思い知らされました」。
帰国後、自分にできることは何だろうと自問自答した池宮さん。導き出した答えは「既に心豊かに暮らしている人々。その日常を守りながらも、現地の人と共に仕事をつくることに取り組む」でした。まずは人生の転機となったカンボジアの人たちの元へ。そう決意して現地へ移り、当時まだ日本では全く知られていなかったカンボジアのかごに着目して、2014年にmoilyを立ち上げます。
「もちろん、最初から事業が順調に進んだわけではありません。品質や現地の価値観の違いから職人たちとぶつかったこともあるし、何より最初は商品がまったく売れませんでした。でも、マルシェなどのイベントで購入してくださったお客様から口コミで評判が広がったり、取引先の雑貨屋さんに助けていただいたりして。徐々に全国のライフスタイルショップで取り扱っていただけるようになったんです。そして、2016年に公式オンラインショップを、2018年に実店舗をオープンするまでに成長しました」。

カンボジアと重なった垂井町の美しい自然風景と魅力的な人たち

実店舗のオープンは、知人を介して知り合った「木工房・カフェ 結」のオーナー、黒川大輔さん・永世子さん夫妻との出会いが大きかったとか。
「初めて結さんに伺った時、ゆったりとした時間が流れる敷原地区の田園風景がどこかカンボジアと重なり、素敵だなあと思いました。そして、おふたりの温かな人柄に魅了されて、お店を開くならここがいい!と即決したんです」。
現在は、店舗の営業日である週末に垂井町へ通っている池宮さん。黒川さん夫妻や来店客らとふれあい、また四季折々の自然を楽しむひとときが、自分の心と向き合う大切な時間になっていると言います。
「私はもともとソーシャルビジネスをしているつもりも社会起業家のつもりもなくて、自分が出会った大好きな国や地域の人たちのために何ができるかを考えて、それを実現しようと思っているだけなんです。カンボジアの村に、かご職人を続けながら生き生きと暮らす人が増え、電気や水道が通り、トイレが設置された・・・そういう変化に関われたことがうれしくて。そのスタンスは今後も変わりません。実はいま、インドで次のプロジェクトを進行中です。moilyだからできる継続的な関わりを形にしていきたい」。池宮さんの屈託ない笑顔から、彼女自身がmoilyの取り組みを心から楽しんでいる様子が伝わります。
「たくさんのモノを持つこと」が豊かさの象徴だった大量生産・大量消費時代から、「商品のストーリーや作り手に思いをはせ、丁寧な暮らしを志向する」時代へ。そのシフトが始まっています。あなたもぜひ、moilyを通して本当の豊かさや幸せについて考えてみませんか。

「moily」
住所:岐阜県不破郡垂井町敷原173(木工房・カフェ 結の敷地内)
営業日:土・日曜13:00~17:00
https://moily.shop-pro.jp/

My favorite spot

元高校教員だった大輔さんが夢を叶えて、セルフビルドで作った木工房とカフェ。ご夫妻の人柄がそのまま表れた温かみのある家具や食器、やさしい味わいのスイーツたちと出会えます。カフェの大きな窓から、四季折々の景色をのんびり眺める時間が私は大好き。不定期で開催される「石窯ピザの日」というイベントもおすすめです!

「木工房・カフェ 結」
住所:岐阜県不破郡垂井町敷原173
営業日:金曜13:00~16:00、土・日曜13:00~17:00
※詳細はInstagram(木工房:@cafewoodworkmusubi )でご確認ください。